自動ドアを過ぎて、盗難防止のゲートを進む。
ここは、本がたくさんある場所。大好きな、図書館。スタッフの方も大体、把握してる。毎日のように、訪れることを習慣にしたから、スタッフも覚えた。
関わる瞬間といえば、本の貸し出しくらいだ。ちょっと前までは返却も対面で行っていたけど、自動返却機が導入されてから、接する機会が少し減った。貸し出しのわずかな瞬間に、人の個性が滲み出る。良い・悪いとか、そういう話ではなくて、とにかくみんな、個性的なのだ。
例えば、あるスタッフとのやり取り。貸し出しの際に、手を差し伸べても、テーブルに置かれる。本を手渡ししてくれないのだ。最初、このやりとりには抵抗があった。二回目は、たまたまだよね?と思い、また手を差しのべる。受け取れず。三回目も結果は同じ。そうか、これは個性だとぼくは認識した。その後、手は差し出さず、とにかくテーブルに置かれるのを待つ。スタッフの揺るぎない反応に、今では安心感すら覚える。
ユーモアを感じる方もいらっしゃる。「貸し出しは2冊ですね?」と指を立てて確認してくれる。いきなり問題を出題されたかのような錯覚を覚える。今日のクイズも、絶対にわかるやつ。答え知ってる。と心の中で答える。
個性を感じられる瞬間。本の受け渡しに接客のルールはない。それゆえ、個人の個性が滲みでる。その個性も一旦受け入れてみると、あんがい良いものだ。
決まった暮らしの流れに安心感を欲するのは、みんなが持ってる感覚ではないだろうか。
ふとした日常の些細な出会いに気づきの視点をもつこと。気づいたら、深く掘ってみる。これも楽しみ。人生を豊かにする秘訣と考えている。