タイが好きである。

最近フォトグラファーとしての撮影のお仕事をいただけて本当に嬉しく思っている。次のお仕事では、食品の撮影依頼を頂けた。今回は、その事前スタディで思い出した、タイのお話。

食品撮影のスタディ企画として、「自分が美味しい」と思うものをテイクアウトして、好きなお皿に盛り付ける。それを綺麗な光で撮影したら面白そうだなと思いつき、実行に移した。

今、住んでいる地元では「タイ料理食べるならココです!」というタイのお店がある。ここでランチタイムに妻を誘って、一緒に過ごすことも多い。本日は撮影のためにテイクアウトで立ち寄り。11時過ぎだったのでスムーズに入店。注文もすぐに済ませることができた。現地のタイから来たであろう料理長は、注文と同時に手際よく油を鍋に火を入れて、音を立ててパッタイを作り始める。

「オマチドウサマー」

ウエイターさんの何とも絶妙な日本語のイントネーションが心地良い。財布の小銭を確認している間にすぐ出来上がった。今の時代に珍しく、現金しか取り扱っていないこのお店は、この不便利なところも好きである。

家に帰って、テイクアウトしたパッタイを水色のお皿に盛り付ける。なかなかボリュームがあって、お皿に盛り付ける分量をだいぶ減らした。何もかも値上がりしている昨今、本当に良心的だなぁと思う。減らした分のパッタイをもぐもぐと箸で口に運びながら、撮影機材をセッティングする。う、うまい。正直、撮影どころではない…!

といいながら、撮影できたのがこの写真。

いやぁ、本当においしい。タイに行って屋台で食べたい気持ちいっぱいになります。

そう願っていても、なかなか行くことができない。だから、地元にあるタイ料理屋さんでパッタイやらグリーンカレーやらを、時々食べるだけでいい。少し、幸せな気持ちになれる。

「タイが好き」と言ったものの、一度しか訪れたことのない国。もっと行きたいなぁと思いながら、仕事で行った一度きりのタイ。自分に自由とお金があったならば、もっと気軽に微笑みの国に行っただろう。

タイが微笑みの国だと知ったのは、入国審査のとき。飛行機の中で事前に書き込む必要がある書類を私はすっかり失念していた。事前の準備を怠り、審査の際に提出ができなかった。心底、冷や汗をかいたのを覚えている。

しかし、係員の方は私に怒ることなく笑顔で接してくれた。

このエピソードをいつまでも覚えている。無表情とか、怒るとかじゃなくて、タイでは、笑顔で指摘してくれた!と…。自分の不甲斐なさを感じながらも、懐の深さに感動したのでした。

家族でタイに行ってみても良いな。その企画もいつか立ててみたい。笑顔のパッタイ、ごちそうさま。

*本記事は”文と写 note”にも掲載しています。