写真|CONTAX T2 (PORTRA 400)
いま目の前にいる人は、もしかしたら今日会うのが、最後かもしれない。
ビルの10階程の高さから、目の前に広がる東京の景色を見て、そんなことを思った。実際にそうだったことが何回もある。自分の身の回りの仕事で関わっている人は10年後は一緒にはいないだろう。例えば隣のデスクのいつも話しかけてくれる年配の上司。彼はいつまでぼくの隣に席を置いてくれるのだろう。ぼくが移動する可能性もあれば、その逆もある。
その昔、別の職場の上司と、10年後の日本の食糧自給率について話す機会があった。「10年後は大変なことになっているでしょうね」と、適当な発言をしたことを覚えている。そのとき、この上司と10年後は一緒にいないだろうと思った。
10年以上の月日が流れたが、食糧問題に関しては、なにも日本は変わってはいなかった。ぼくは職場を変え、その上司は部長に出世していた。