撮影機材|i phone 13 mini

目が合いましたね。

おっとあぶない。踏み潰すところでした。ぼくは、目をそらさずに見つめることにした。きみもずっと、こちらを見つめる。普段はきみに気がつくことも無く、通り過ぎていただろう。でも今日は違う。道路の真ん中にいるなんて危なすぎるよ。

ぼくが踏まなくても、誰かが踏むだろう。そう思って、さっと手に乗せる。きみは足をバタバタとさせて嫌がった。きっと怖かったんだろう。でも、ぼくは階段でこれから何度も訪れるであろう、きみにとっての脅威から助けることにした。歩道橋の階段の真ん中にいるなんて、自殺行為だ。

今も活躍する東京の歩道橋は、あちらこちらからブルーのペンキが剥がれ落ちている。ぼくは歩道橋からみる景色がすきだから、いつも上を、空を眺める。今日は曇りだったから、下を向いていた。だから君に気がついた。信号で待つよりも歩道橋をよく使うぼくは、きみを踏まずにすんだ。

何か、これは自分の仕事なんじゃないかと感じ、このままじゃいけないと思った。安全だろう遊歩道まで運び、草木がある花壇で下ろした。きみはそのあとぼくを見つめる事なく、草の中へ進んでいった。